災害時のこころのケアに役立つ情報

2011年3月の東北地方太平洋沖地震で、被災された皆様、ご関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。
被災された皆様、直接の被害はなくても余震や、停電などが続き不安を感じている方々も多いかと思います。
この災害に伴う、健康やこころへの悪影響も懸念されるところです。

そこで労働者健康福祉機構が作成したこころのケアに関するマニュアルから一部をご紹介申し上げます。
職場における災害時のこころのケアマニュアルは、事業場の産業医、保健師等専門職の方々、事業主、衛生管理者、労務担当者及び同僚労働者の方々が、災害や事件等に遭遇した労働者及びご家族等にどのように接するべきか、企業がどのような対応をとるべきか等について、一般的な指針を示しております。
少しでもお役に立てれば幸いでございます。

株式会社メディエイト サポートデスク



事業場としての対応


トラウマティックストレス反応への事業所としての対応

(1)事業主の役割
1. 事業主の理解と意思表明
事業場で心のケアを行う際には、「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針」に沿って対策を行います。まず事業主がその意義・重要性を理解して、トップダウンで心のケア対策を推進することが大切です。
「事業場として、今回の事件に対して心のケアに取り組む」といった意思表明をすることが有用です。

2. 情報開示および共有
事業場で、災害や事件に関連した情報の開示をしていただき、関連部署で情報の共有をすることが大切です。
このことは無用な不安の生じることや、風評の流布を防ぐ上で役立ちます。

3. 人的資源の整備・活用
事業場内のメンタルヘルスに関わる人的資源を整備して、活用して下さい。たとえばラインの管理監督者、産業保健スタッフ等の役割を決めて、同時に各部署の連携がとれるようなシステムの構築を心がけてください。

4. 危機管理チームの編成
危機的状況における危機管理チーム編成を行うことが必要であり、産業医がその中心となるべきでしょう。また職場では衛生管理者が中心的役割を担うことが望まれます。
危機管理チームにおいては、迅速で適切な対応ができるようにマニュアルの作成を行ってください。

5. 外部資源の有効活用
外部機関と契約を行って利用することが有効ですが、心のケアのすべてを外部機関に委託するのではなく、事業場内においてできることと、事業場外資源を利用して行うことを明確に分けてください。事業場内資源と事業場外資源が相互に補完しあうようなシステムを考えてください。
(2)管理監督者の役割
1. 業務に関する配慮
後述するように、被災者である部下がたとえ一見元気にみえても、無理をしていてストレスが持続していることも予想されますので、一定期間休養をとってもらう方がいいでしょう。その上で復帰後には、本人と十分に相談しながら、徐々に業務を増やしていってください。

2. 部下のケア
部下の気分の変化、言動の変化、行動面の変化に気をつけてください。こうした変化に気づいた段階で、具体的な行動をとる前に、先ずは産業医、保健師等の専門職に相談してください。また本人が負担を感じないように、さりげない配慮が大切です。そして、適宜声をかけることが大切ですが、決して過度にならないようにしてくだ
さい。様々な人から声をかけられると、そのことで負担に感じる人もありますので注意してください。

(3)産業保健スタッフの役割
1. 情報提供
産業保健スタッフの重要な役割は、健康情報の発信源となることです。様々な方法・手段を使って、適宜情報提供を行ってください。危機的状況では、必ずしも正確ではない様々な情報が乱れ飛ぶことがしばしばありますので、責任ある部署からの情報提供が大切です。

2. 健康に関する個人情報の一元管理の中枢
産業保健スタッフが、健康に関する個人情報を一元的に管理する中枢的機能を果たすべきです。相談窓口が多様に存在する場合には、このことは特に重要です。同時に事業場内資源のコーディネーター機能を求められます。なお個人情報の保護には十分に留意してください。

3. 外部医療機関・相談機関との窓口機能
普段から行っていただいていることですが、外部医療機関・相談機関との連携の窓口機能を十分に果たしてください。この連携は、双方向的なものであり、業務上の配慮等に関して主治医から適宜具体的な指示を受けてください。

4. 問題の適切な医学的評価と行動計画を立てること
問題に関して、専門職として適切な医学的評価を行って、労働者本人、場合によっては家族と連携・相談しながら適切な行動計画を立ててください。

(4)人事労務担当者の役割
1. 産業保健スタッフの評価にもとづいた適切な人事管理
産業保健スタッフの評価にもとづいて、管理監督者と相談しながら適切な人事管理を行ってください。

2. 職場の保証・キャリアの保証
労働者が最も不安に感じるのは、職場がどうなるか、自分がどうなるかです。災害や事件に関連したストレスMental Healthcare Manual 8 以外の不安要因はなるべく取り除くことを心がけてください。職場・本人のキャリアの保証に関して言質を与えることが大切です。

3. 人事に関連した相談窓口の開設
2と関連しますが、人事に相談窓口を開設するのも一つの方法です。通常管理監督者を介しての相談となると考えられますが、直接相談できるような窓口は有用です。

詳しくは下記をご参照下さい。
  • 職場における災害時のこころのケアマニュアル
  • 上記内容のご説明
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